2019年2月11日月曜日

安岐理加 in yoms「上映と座談会 それとパン」

3月9日・10日(土・日)に、香川県豊島で「てしまのまど」を運営する安岐理加さんのパンの販売と、映像作品「森の景色」(2012年制作)の上映および座談会を行います。
パンは数量限定にて2日間にわたり店頭販売。
映像上映は10日19時より、15人限定、料金1500円、猪肉の煮込み付き。
上映後はyoms祐平や来場者との座談会を予定しています。
ご予約はリプライ、メール、DMでも承ります。
ご来店お待ちしております。

※詳細随時更新します


映像作品:
「森の景色」2012年制作 2012年の雪の降る時期に徳島の山で犬と共に猪を追う82歳(当時)の翁と出会い、数日
間過ごし、地域で継承されているイノシシ猟についてのインタビューと実際に狩に同行し た。

撮影:宮脇慎太郎

安岐理加[aki rika]
美術家/てしまのまど代表/元路地と人メンバー 道を歩いたり、人と話したりする対話から見えてくる土地と人の関係性に視点を注ぎ、立 体作品、写真、映像、文章、音などを媒体に表現活動を行い、2010年瀬戸内国際芸術祭 参加ほか、国内外のアーティ ストインレジデンス、展覧会に参加する。
2010年よりオルタナティブスペース「路地と人」を設立し、企画と運営に3年間携わる。 2012年より瀬戸内海の豊島にて「てしまのまど」を設立し、オーラスヒストリーの収集 と記録、アートプロジェクト、ワークショップの開催等を中心とした活動を開始。2013年 には荒畑を開墾、夏より祖父母が暮らしていた家を自ら改装し、秋よりス ペース開室。 以降、展覧会、ワークショップ、トークショー等を開催する傍らカフェを運営し毎日パン を焼く。 オーラルヒストリーの調査の主な活動として中西レモンと共同で豊島の盆踊りをリサーチ し、2014年に「インタビュー資料集豊島盆踊り音頭」発行。企画した主な展覧会として 2016年展覧会「その島のこと」を開催。
2019年春よりIAMAS在学予定

TEXT:安岐理加
映像作品「森の景色」は2012年の冬に撮影した映像です。
2011年の震災を関東で経験した私は、2012年の冬に徳島である翁と出会いました。
そのころの私はというと、暮らしの中から立ち上がる表現の持つ力について、様々な出会いから感じ取りつつもそれを自分の表現できずにいた。
自分自身で生産する力を持ちたくて島で暮らすことを決め始めていた頃。それから2012年の夏にプロジェクトとしてのてしまのまどを始動し、2013年よりスペースとしてのてしまのまどを開室しました。
日々パンを焼き、珈琲を煎り食事を提供したり、数人の協働する人々と様々な企てを実践したりして蓄積した私の暮らしはまだ俯瞰することができないのですが、、、
パンは、島にパン屋さんがなかったから焼いてみたというのが始まりで、振り返ると5年間焼き続けていて、パンを通して見えてくる人々の暮らしと景色は今でも飽きることなく眺めることができて、だから焼くのをやめないでいます。
そんなここでの暮らしに入る前に撮影した作品を今回東京時代からの友人が営む高松にある古本カフェのYOMSにて上映します。
YOMSの二人、、ユーヘイくんとまど とは、かつて私が運営に携わっていた東京神保町の路地と人で知り合いました。
彼らにとってのYOMSはまるで二人で育てている生き物のようで、しかしながら実際は本屋さんだったり、喫茶だったりするので、当然目的を持った人が来るし、街の景色にも介在する。
今回、二人が育てている場所に私が作品とパンを持ち込むことで、またあの場所の景色が少し変わるのでしょう。
その変化を恐れることなく、私とユーヘイくんとまど が見てみたくなった今このタイミングで、今回の企てを実践してみようと思います。
年度末、お忙しい時期かとは思いますが、ぜひお越しください。
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TEXT:齋藤祐平
安岐さんとは、東京・水道橋の「路地と人」というギャラリーで2010年に初めて出会いました。
当時安岐さんは路地と人のメンバーで、僕はその後展覧会を企画させてもらったりして路地と人に足繁く通うことになります。
2013年、まだYOMSが店舗を持てず東京で悶々としていた頃に「yomstore」という期間限定店舗をやらせていただいたこともありました。
当時あまり長く深く安岐さんと会話を交わしたことは無かったと思いますが、しかし言葉が少しずつ積み上がっていくことで、お互いの感覚を確かめ合うことはできていたような気がします。
そして2015年香川県に引っ越し、2017年にYOMSの店舗営業をスタートさせ、2019年に自分のお店で安岐さんの作品を上映することになりました。
思い起こせば、最初出会ったときと「場所を運営する人」と「作品を作る人」が逆転して今こうして関わっているのは面白い事態だなあと思います。
9年越しと言うとおおげさですが、その歳月がおいしく熟成した2日間になれば良いなと思います。
ぜひいらしてください。

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TEXT:まど
「てしまのまど」という場所はアキリカさんの「作品」だと思ってます。
アキリカさんは「彫刻家」なのだと。
大学時代に「社会彫刻」という概念を教わりました。アートというのは美しい絵や立派な立体物を創ることではなく、他者(社会)とコミットしていく創造性なのだ、と。それは、アーティストという冠をつけなくても、例えば看護師さん、お魚屋さん、古本屋さん、農業をする人、あらゆる人がそれぞれの創造性を発揮して社会を彫刻できる、という考え方だったと解釈してます。
他人や土地とのとのかかわりの中で安岐さんが作る作品のメディアは場所だったり、映像だったり、言葉だったり、毎日焼くパンだったり、生きることの当たり前の中にあるものだと。アキリカさんという生き方がなのだと思いました。
YOMSはアーティストではありません。作品としてお店をやっているわけではありません。ですが、なにかを創造しているという意識は、YOMSの二人とも常に心にあると思います。
わたしは、お店をする理由の一つとして「好き」を共有したいという願望があります。私が「創造性」を通して他者とのかかわりの中で喜びを見出せるのはその瞬間です。
かつてアートを志していたわたしは、いろいろな側面でアートに失望し、アートから離れていました。そんなときアキリカさんがまっすぐに「私、アートが好きみたい」と言ったことが心に残っています。私もまっすぐなにかを「好きだ」と言っていきたいと思いました。
今回アキリカさんと何かを共有し、YOMSというお店で「コト」を創造したい、それをまた誰かと共有できることは、同時代に生まれて関わり合えたから創造できるもので、大げさだけどすごいことだなぁと思うのです。


美味しいパンと、本と、珈琲と、この場所と時間を共有しにきていただければ幸いです。









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